風邪がうつる瞬間
今週のお題「一番古い記憶」
夜、どこか薄暗い港にいて真黒なスーツを着ていた。
後ろを向くと黒い海。目を開けたままの女が浮かんでいる。
目の前にはスキンヘッドで色黒でサングラスをしたガタイのいい男と、
髪の長い女が立っていた。
男は僕に銃口を向けていた。
どんな音だったかは覚えていないが、胸に銃弾が刺さって海に落ちた。
海なのに暖かった。
すぐに場面が変わり、僕は畳の上に座っていた。
目の前には母親がいた。
「○○ちゃーん(僕の名前)、なんさーい?」
「よんちゃーい!」
肩をたたかれて振り向くと兄がカメラを構えていた。
カシャッ! うわっ、なんか目の真ん中に白い影が残る
「あんまり近づくと風邪がうつっちゃうわよ」
「大丈夫、もう写したから」
そんなやり取りを見て、
シャッターの瞬間のチカチカが見えたときが
風邪がうつる瞬間なんだなと小学校低学年ぐらいの時まで勘違いしていた。
こんな話を誰かにしても
前半の部分は信じてもらえたことはない。
俺はサイコ野郎などではない!
おしまい